スタッグス、魂のドロー。誇りを胸にACL2から去る
- Tampines Admin

- Mar 14
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ジャラン・ベサール・スタジアムは、信念とプライド、そして揺るぎない声援に包まれた。しかし、タンピネス・ローバーズの記憶に残るアジアの旅は、AFCチャンピオンリーグ2(ACL2)準々決勝第2戦、タイのバンコク・ユナイテッドとの激闘の末、2-2の引き分けで幕を閉じた。
後半を支配し、終了間際まで逆転ゴールに迫る執念を見せたものの、スタッグスは合計スコア3-4で惜敗。大会優勝候補の一角を最後まで追い詰め、誇りを持って大会を後にした。

サポーター「The Stand」の後押しを受け、スタッグスは今大会を象徴するような、レジリエンス(不屈の精神)と信念に満ちたパフォーマンスを披露した。無敗で終えたグループステージ(5勝1分け)から始まり、劇的な展開を経てアジアのベスト8まで登り詰めた。
結果としては旅の終わりを迎えたが、この試合のパフォーマンスは、クラブがアジアの舞台でいかに進化を遂げたかを改めて証明するものとなった。
ゴールマウスに託された大胆な決断

スターティングメンバーが発表された際、ファンの注目を集めたのは、誕生日を3日後に控えた16歳のGKケイシー・ロジャーズの抜擢だった。 しかし、驚きの声は少なかった。ケイシーは直近のコンアン・ハノイ戦やライオン・シティ・セーラーズ戦といった大一番で、すでに並外れた冷静さを見せており、コーチ陣とサポーター双方の信頼を勝ち取っていたからだ。
守備陣には、週末のヤング・ライオンズ戦で温存されていたイルファン・ナジーブとジェイコブ・マーラーが復帰。 中盤は鷲見星河、シャー・シャヒラン、そして小林祐希の3人が先発。小林は最終ラインの直前でプレーし、一晩中試合のテンポをコントロールした。 前線ではトレント・ブハジャールが復帰し、東川続、風間宏矢と共に、第1戦の僅差のビハインドを跳ね返すべく攻撃陣を形成した。
バンコクに先制を許す
試合の入りはアウェイのバンコクが勢いを見せた。4分、ティーラシン・デーンダーのパスからティティパン・プアンチャンが決定機を迎えるも、シュートは枠の外へ。 直後、鷲見がスペースを作りスタッグス最初のシュートを放つが、クロスバーの上を越えた。
攻撃の手を緩めないバンコクは15分、鮮やかなパス回しからボックス外のティーラシンへ。正確な低い弾道のシュートがゴール隅に突き刺さり、ケイシーも届かず。バンコクが1-0とリードを広げた。 さらに数分後、素早いカウンターから追加点のピンチを招くが、シュートはファーポストをかすめて外れた。

ここでケイシーが輝きを放つ。ウィラテップ・ポムファンのシュートを阻止すると、続くムセン・アルガサニの至近距離からの決定的なシュートを見事にセーブ。ホームの観衆から大歓声が沸き起こった。
トレントのゴール(再び)
序盤の劣勢に耐えたスタッグスは39分、チャンスを掴む。 小林の力強いタックルから攻撃が始まり、シャーがディフェンスラインの背後へ絶妙なロビングパスを供給。完璧なタイミングで抜け出したトレントが、冷静にGKパティワット・カンマイの横を抜き、ゴールへ流し込んだ。 今大会8点目となるこのゴールで、スタジアムのボルテージは最高潮に達し、スコアは同点となる。
しかし、歓喜は長くは続かなかった。わずか3分後、イリアス・アルハフトにディフェンダー2人の間を突破され、再び勝ち越しを許してしまう。 前半終了間際、若きGKケイシーは再び鋭いセーブを見せ、ワンチャイ・ジャルノンクランの至近距離からのシュートを防いでハーフタイムを迎えた。
後半の反撃

前半の悔しさを胸に、ホームのスタッグスはこれまでの大会同様、自分たちの支配力を示そうと試みた。「タンピネス・フットボール」というクラブのブランドを体現し、後半はほぼスタッグスの時間となった。
鷲見がキレのあるドリブルからシュートを放ち、チームに勢いを与える。 54分にはシャーのパスからトレントが2点目のチャンスを迎えるが、コントロールしきれずシュートはGK正面へ。 プレッシャーをかけ続けるスタッグスは、東川のヘディングや、吉本武の深いクロスに合わせたイルファンの飛び込みなど、惜しい場面を量産する。
そして残り20分、ついに均衡が破れた。

シャーの完璧なスルーパスを受けた鷲見がボックス内に侵入し、マイナスの折り返し。東川はわずかに届かなかったが、こぼれ球に反応した風間が無人のゴールに蹴り込み、2-2の同点に。ジャラン・ベサールの観衆は狂喜乱舞した。
伝説の逆転劇まであと一歩
同点ゴールに勢いづくスタッグスは猛攻を仕掛け、バンコクは必死に陣形を整える。 東川の華麗なソロ突破からのシュートはわずかに浮き、吉本が角度のないところから狙ったシュートも惜しくも枠を外れた。
バンコクは徐々に守備を固め、合計スコアを守るべく5バックへと移行。それでもホームチームは攻め続けた。 途中出場のアーサーに二度脅かされる場面もあったが、ケイシーがニアポストを死守するセーブで凌ぐ。
そしてアディショナルタイム突入直前、最後にして最大のチャンスが訪れる。

多くの選手が入り乱れる中、吉本が遠距離から強烈な低弾道のシュートを放つ。しかし、GKパティワットがこれを決死のセーブ。バンコクの準決勝進出を決定づけるプレーとなった。
旅への誇り
アジアの冒険はここで幕を閉じたが、今大会の軌跡は長く記憶されるだろう。 無敗のグループステージ、ラウンド16でのコンアン・ハノイ戦での劇的な逆転勝利、そして東南アジア屈指の強豪を準々決勝の2試合で限界まで追い詰めた戦い。タンピネス・ローバーズはこの舞台に相応しいチームであることを世界に示した。
マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたトレント・ブハジャールは、この経験がクラブを強くすると確信している。

「僕たちはこの大会で戦える力があることを証明したと思う。タフなグループを突破し、大会を通じて一貫して良いパフォーマンスを見せることができた」と、先制ゴールを挙げた28歳のマルタ人FWは語った。
「このトーナメントから多くのポジティブな要素を持ち帰ることができる。来シーズンはもう一歩先へ進めると確信している。それが目標だ。チームを誇りに思うし、クラブは正しい方向に進んでいるよ」
視線はリーグ戦へ
アジアでの挑戦を終え、スタッグスは再びシンガポールプレミアリーグ(SPL)へと戦いの場を戻す。優勝争いの真っ只中にいる彼らにとって、戦いは終わっていない。
首位ライオン・シティ・セーラーズと勝ち点5差、そして「未消化の1試合」を残している状況で、ロバート・エジアコー監督は語る。 「首位との差は大きくない。シーズンを最高の形で終えられるという信念と夢を持ち続けている」
トレントも監督の言葉に同調し、大会敗退の悔しさを国内リーグへのエネルギーに変えると語った。 「もっと先へ進みたかったのは事実。でも、今はリーグ戦に集中し、セーラーズとの差を詰めていくよ」
ジャラン・ベサールでの忘れられない夜に見せた闘志があれば、スタッグスが残りのシーズンをさらなる決意を持って戦い抜くことに疑いの余地はない。
サポーターが試合終了の笛までチームを鼓舞し続けた夜。スタッグスは胸を張ってピッチを後にした。彼らが全力を尽くし、アジアの舞台でシンガポールサッカーの誇りを示したことを、誰もが知っているからだ。



